サラリーマンのパワーup 食で不調を撃退する

カルシウムはマグネシウム、ビタミンDと一緒に

 前回、「カルシウムパラドックス」と動脈硬化のリスクについて触れましたが、そもそも、カルシウムパラドックスとはどういうことかを説明します。

 本来、私たちの体には、体重の2%のカルシウムが存在するといわれています。そのうちの99%が骨や歯に、1%はイオンとなって血液中と細胞に、1万対1の比率で存在します。

 毎日のカルシウム摂取が不足すると、血中のカルシウム濃度を保つために、体は骨からカルシウムを溶かします。すると、細胞内にカルシウムが入りこみ、石灰化が起こるのです。あってはいけないところにカルシウムが存在するこの現象は「カルシウムパラドックス(逆説)」という言葉が使われ、1966年にネイチャー誌で発表されました。「逆説」といっているのは、「カルシウム不足で生じる体内の石灰化」を、かつては「カルシウムの取り過ぎ」と逆に捉えていたためです。

 カルシウムの調整は副甲状腺で行われます。不足すると、ホルモンバランスの乱れ、免疫力の低下、心臓や筋肉の収縮弛緩に影響し、血圧にも関係します。脳の神経伝達や精神にも不安が生じ、最近増えているアレルギー症状にも、カルシウム不足が関係していることがわかっています。

 つまり、カルシウム不足は、よくいわれる骨粗しょう症のリスクを上げるだけでなく、命に関わるさまざまなことに影響を及ぼすのです。

 カルシウムの摂取は、「マグネシウムやビタミンDと一緒に」が忘れていけないポイント。カルシウムは、乳製品、魚介類、海藻類、緑黄色野菜に多く含まれています。マグネシウムは、大豆加工食品、アーモンド、ナッツに、ビタミンDはキノコ類、卵、魚介類などに豊富です。

 日本人は慢性的にカルシウム不足ですので、これらを組み合わせた食事をルーティン食に加えてください。

佐藤智春

佐藤智春

スタイリストとして活躍していた32歳の時、働き過ぎで体調を崩しダウン。「分子整合栄養医学」に出会い、人体と栄養の関係を学び、実践を重ねながら健康を取し、血液栄養診断士の資格を取得。現在はクライアントの血液データから栄養を厳密に把握し、食と医療、ライフスタイルを具体的に提案。著書に「卵を食べれば全部よくなる」「男は食事で出世させなさい」「身長を伸ばす7つの法則」など。