怖い薬の飲み合わせ

<第4回>脳心血管を治療中なら解熱鎮痛薬に注意

 解熱鎮痛薬の代名詞ともいえる医薬品が「アスピリン」です。炎症を鎮めたり痛みを抑える効果があり、頭痛、生理痛、関節痛などに対してや、発熱時によく使われています。「バイアスピリン」や「バファリン」という商品名でもお馴染みで、常備薬として救急箱に入っているご家庭も多いでしょう。

 ドラッグストアなどで誰でも簡単に購入できる薬ですが、むやみに服用すると大きな副作用が生じるケースがあります。

 まず、「抗凝固薬」との飲み合わせに注意が必要です。ワーファリンなどの抗凝固薬は血液をサラサラにする作用があり、脳梗塞の予防などに使われます。実はアスピリンも低用量で使用することによって血液をサラサラにする働きがあります。そのため、両者を併用すると作用が増大し、「出血傾向」の副作用によって脳出血などのリスクがアップしてしまうのです。

 医師による処方のもとであれば、アスピリンと抗凝固薬の併用は一般的なので心配する必要はありません。しかし、医師の指示ではなく、自己判断で併用するのは避けてください。

 心臓病の治療薬として活用されている「利尿薬」や「β遮断薬」との併用も危険です。これらの薬とアスピリンを一緒に服用すると、利尿薬やβ遮断薬の作用を減弱させてしまいます。利尿薬による「尿を出させる作用」が弱くなったり、β遮断薬による「心臓への作用」が小さくなり、高血圧や不整脈のコントロールが不安定になる恐れがあるのです。

 アスピリンは、市販の風邪薬などにも含まれています。医師から処方された薬を服用している方は、アスピリンとの飲み合わせをしっかり確認しておいたほうがいいでしょう。

深井良祐

深井良祐

86年岡山県生まれ。岡山大学薬学部大学院在学時に薬学系サイト「役に立つ薬の情報~専門薬学」(http://kusuri-jouhou.com/)を開設。医薬品卸売企業の管理薬剤師を経て独立し、現在は医療系コンサルタントとしても活動。株式会社ファレッジ代表取締役。