Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【大渕愛子さんのケース】子宮頸がんはワクチンと検診で撲滅できる

大渕愛子さん(C)日刊ゲンダイ

 若年発症者の増加は、セックスの低年齢化が影響しています。1990年、高3の女子生徒のうち、性体験があったのは1~2割。現在は半数近くに増加。その結果、15~19歳の女子でも、3人に1人はHPVに感染しているのです。

■発症のピークは30代

 80年ごろ、子宮頚がんの発症のピークは60~70歳でしたが、今は30代に低下。大渕さんのケースは、子宮頚がんを取り巻く現状と重なるのです。10代、20代の患者さんも少なくありません。欧米では“過去のがん”といわれていて、患者数が減っていますが、日本では“現在進行形のがん”なのです。

 なぜ、欧米で子宮頚がんが“終わったがん”なのか? ヒントは、HPV感染にあります。理論上、感染をブロックできれば、発症を食い止めることができますが、セックスしないというのは現実的ではありません。そこで登場したのが、子宮頚がんを防ぐためのワクチンです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。