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【カビアレルギー】室内のカビ増殖を防ぐ3つのポイント

(C)日刊ゲンダイ

 カビアレルギー(真菌過敏症)は、空気中に浮遊するカビの胞子がアレルゲン(原因物質)となり、大量に吸い込んだり、粘膜に付着することで気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎、結膜炎などの病気が引き起こされる。

 そもそも、カビは屋外の土壌中などに生息していて、室内には換気の際に外気と一緒に入ってくるので侵入自体はしかたがない。室内では湿度が70%以上になる頻度が1日8時間以上あるとカビが増殖するので、換気・除湿などによる湿度管理が重要になる。

 住宅環境のカビを研究している工学院大学・建築学部の柳宇教授は「一般家庭に比べて、オフィスビルは格別に室内のカビ濃度が低い」と言う。

「オフィスビルの空調には粗じん用フィルターと中性能フィルターが付いているからです。私たちの研究では、外気中のカビの90%以上は除去できています」

 ただし、古いオフィスビルで外気をそのまま取り入れている場合には、室内のカビ濃度は一般家庭と同じだという。高断熱住宅の24時間機械換気でもエアフィルターは付いていない。フィルターを付けてファンの吸引力を高めると騒音の問題が出てしまうからだ。

■近ごろの空気清浄機は優秀

 では、一般住居でカビ濃度を減らす方法はないのか。

「住宅内のカビ対策としては、空気清浄機が十分効果があります。メーカーによっていろいろな機種やタイプがありますが、基本的に中性能以上のフィルターが付いているタイプであれば大丈夫です。十数年前までは1分間に2立方メートルの清浄が標準でしたが、いまは1分間に5、6立方メートルが標準なので昔の機種の3倍の効果があります」

 冬は、寒い屋外と暖房している室内の温度差で起こる結露がカビ発生の原因になる。サッシの周辺、水道管のある水回り、外壁に面している場所などがカビの生えやすいチェックポイントになる。

「表面温度が下がると相対湿度が非常に高くなり、湿度90%になった場合はクロカビがどんどん生えてきます。室内でいえば、外壁に面している押し入れの中や、部屋の隅の壁などが要注意です」

 たとえ高断熱住宅であっても部屋の隅は施工が難しい。いい加減に施工されていると表面温度が下がりやすく、湿度が高くなるという。

■加湿器はこまめに水洗い

 冬の乾燥対策の加湿器の水もカビ増殖の温床になる。水は毎日替える。加湿器を洗うときは、初めはアルカリ性洗剤でカビを落として水洗いし、最後は酸性洗剤で洗って細菌を落とす「2度洗い」をするのがいいという。

「室内のカビ濃度を抑える対策は、①換気による湿度管理、②掃除によるカビのふき取り、③空気清浄機の使用の3つがポイントになります」