年末年始の暴飲暴食 「7つの食材」が疲れ切った胃を救う

写真はイメージ
写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 年末年始の食べ過ぎや飲み過ぎで疲れ切った胃腸を整えるため、昔から1月7日は「七草がゆ」が食べられてきた。しかし、いまはなかなか食べる機会がないという人が多いだろう。正月明けの弱った胃腸に悩んでいる人を救う“現代版七草がゆ”食材を紹介する。

■「免疫力を高める食材」で胃の健康を取り戻す

「正月明けは、暴飲暴食で胃が荒れてしまい胸焼けや胃の不調を訴える患者さんが増えます。また、この時期は胃腸炎などの感染症も増える季節なので、なおさら注意が必要です。胃を整え、守り、免疫力を高める食材を意識して食べて、胃の健康を取り戻しましょう」

 日本消化器病学会専門医の江田証氏(江田クリニック院長)に、胃を救う7つの食材を挙げてもらった。

(1)イカ、タコ、ホタテ、カキ、マグロ

 豊富に含まれている「タウリン」には、アルコールによる胃粘膜の傷害を抑え、胃の細胞の寿命を延ばす作用がある。
「ビタミンCを加えるとタウリンの吸収率がアップするので、レモンなどを搾ってプラスするとさらに効果的です」

(2)鶏の胸肉

 肉類に多く含まれるタンパク質は胃の中に停滞しにくい栄養素で、中でも、繊維が軟らかく脂肪が少ない鶏の胸肉は胃にやさしい。また、日本疲労学会は、鶏の胸肉に多い「イミダゾールジペプチド」が疲労を回復させると発表している。

「長期休暇中は普段とは違う生活パターンになるため、人間にとって強いストレスになります。正月休みで疲れてしまった胃や体を回復させるためにおすすめです」

(3)キャベツ

 キャベツに含まれる「ビタミンU」は、胃酸を抑えて胃炎を軽減してくれる。

「また、『イソチオシアネート』という成分は体内の毒物を代謝するグルタチオンの働きを高めるので、免疫力アップにも効果があります。ビタミンUは加熱すると壊れてしまうため、千切りで食べてください」

(4)ブロッコリー

 豊富に含まれる「スルフォラファン」には強い抗酸化作用があり、胃炎や胃潰瘍を引き起こすピロリ菌を抑え込んで改善する効果がある。

「1日70グラムのブロッコリーを8週間食べると、胃の中のピロリ菌が8分の1に減少するという報告もあります」

(5)オクラ、モロヘイヤ

 ねばねば成分の「ムチン」が胃粘膜を保護、強化する。

(6)ワカメ、コンブ  
 
 海藻のぬめり成分である「フコイダン」が胃粘膜をサポートして、ピロリ菌が粘膜に付着するのを防ぐ働きがある。

(7)青魚

 マグロ、カツオ、イワシといった青魚に含まれる「ナイアシン」は、二日酔いの原因となるアセトアルデヒドを分解し、胃腸障害を軽減したり、免疫機能を補助する効果がある。

「また、青魚に豊富なEPAは、アルコールによる胃粘膜障害を軽減することがわかっています」

■7つの食材を使った「胃力回復メニュー」

 それぞれの食材を別々に食べてもいいが、せっかくだからひと手間加えて同時においしくいただきたい。

 たとえば、鶏の胸肉、タコ、カキ、ブロッコリーをオリーブオイルとニンニクで煮込んで「アヒージョ」にすれば、3種類の食材をまとめて食べられる。これに、塩コンブ、キャベツの千切り、オクラをあえたサラダと、マグロやイワシの刺し身を加えれば、3品で七草がゆに代わる「胃力回復メニュー」が完成する。

 7つの食材で胃を整え、快調なスタートを切りたい。

関連記事