薬に頼らないこころの健康法Q&A

“思春期の不安”に薬は必要か

井原裕 独協医科大学越谷病院こころの診療科教授(提供写真)

 残念ながら日本の医師たちの認識は、甘いものがあります。諸外国と比較して、本邦のベンゾジアゼピン使用量はずばぬけて多いのが現状です。医師たちが弊害についての認識を持っていないからです。

 ともあれ、お母さまとしては、次のことにご留意ください。まず、薬は定時薬、頓服薬ともお母さまが管理してください。ベンゾジアゼピンは大半が「麻薬及び向精神薬取締法」という法律の管理下にある薬剤です。麻薬と併記されるほどの薬を未成年者が自分の判断で服用してはなりません。

 それから、医師とベンゾジアゼピンの常用量依存について率直に話し合ってください。そして、漸減の方法を考えてもらってください。医師に減らす意思がないならば、通院先を変えるべきだと思います。ホームページ等で「お薬を減らす」とか「薬に頼らない」ことを明言していて、多剤併用の状態から漸減していくことに習熟した医療機関を探すべきだと思います。

3 / 3 ページ

井原裕

井原裕

東北大学医学部卒。自治医科大学大学院博士課程修了。ケンブリッジ大学大学院博士号取得。順天堂大学医学部准教授を経て、08年より現職。専門は精神療法学、精神病理学、司法精神医学など。「生活習慣病としてのうつ病」「思春期の精神科面接ライブ こころの診療室から」「うつの8割に薬は無意味」など著書多数。