真似したい伝承療法

富山県の煎りエゴマ

富山県の煎りエゴマ(C)日刊ゲンダイ

 農産業の活性化を目指し、近年、富山県が力を注いでいるもののひとつが、エゴマだ。今はエゴマの生産農家も増え、伝統食材として育ちつつある。

 エゴマとはシソ科の一年草で、その種子を搾ったエゴマ油は体によい油として広く知られるようになってきた。

 もちろん、油として摂取するのもいいが、富山では“煎りエゴマ”もひそかに人気だ。富山県の物産展で煎りエゴマを購入した都内の会社員、池田雅史さんはこう話す。

「エゴマ油は少し臭みがあり、正直、苦手でした。でも、煎りエゴマはそれが気にならず、噛めば噛むほど香ばしさを感じ、サラダや野菜炒めなどにかけてよく食べるようになりました」

 エゴマの健康効果は、オメガ3系列の油であるα-リノレン酸に尽きる。これは体内で作ることができない多価不飽和脂肪酸の一種だ。

 α-リノレン酸は体内に入ると代謝されてEPAやDHAとなり、脳の機能を活性化したり、血中の中性脂肪を減らしたりする作用がある。そのため、エゴマ油は最近、脚光を浴びている。

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宮岸洋明

宮岸洋明

1965年、石川県生まれ。出版社勤務後、95年、健康ライターとして独立。以来20年、健康雑誌などで取材・執筆活動を開始。本連載では、世界的な長寿国である日本の伝承料理がテーマ。「健康長寿の秘訣は“食”にあり」をキーワードに、古くから伝えられてきた料理や食材を実食し、その栄養価、食味や調理法を紹介。筆者自身も、約1年前から数々の伝承料理を食べ約20キロのダイエットに成功。メタボを脱出し、健康診断もオールA。