家計簿を見れば病気がわかる

お金持ちは1斤220円以上の食パンを好む

(C)日刊ゲンダイ

 低所得世帯と高所得世帯とでは、食料支出が2倍近く違っています。一方、日本人の所得と栄養量を調べた論文によれば、低所得層のほうが炭水化物を多めに摂取している傾向にあるようですが、さほど大きな差は見られません。

 そこでまず、主食系の食品支出を見ていくことにしましょう。米、パン、麺、弁当、調理パンの1年間の購入金額を表にまとめました。

 米については、年収700万円から1000万円の層がもっとも多く支出しています。しかし、その差は数千円の範囲に収まっています。有名ブランド米を除けば、産地・品種によらず、米の値段にそれほど大きな違いはありません。家族の人数を考慮すると、世帯収入によらずだいたい同じ量を食べていると考えてよさそうです。

 大きな違いは、パン(食パンや調理パン等)への支出です。所得とともに支出も増え、300万円世帯と1500万円超の世帯では1・6倍の開きがあります。

 麺への支出はそこまで大きな開きはありませんが、やはり高所得層のほうが金額が上がる傾向にあります。しかし細かくみると、高所得層ほど乾麺(うどん・そば)への支出が多く、カップ麺では逆に低所得層のほうが支出が大きくなっています。

 弁当、調理パンとも、所得に比例して支出も増えています。とくに調理パンでは、300万円世帯と1500万円世帯の間に2.6倍もの開きが見られます。

 食パンなどは買った個数が分かっています。年収300万円世帯は1年間に平均50個(斤)、1500万円世帯では平均48個でした。数量に大差はありませんが、単価はかなり違っています。年収300万円世帯が食べている食パンは、1斤約140円。スーパーなどで普通に売られている食パンの値段です。しかし1500万円世帯では、これが約220円以上となります。同様に、調理パンや弁当の価格にも年収差がはっきりと表れます。

 しかしそれだけでは、低所得者と高所得者でどちらが炭水化物を多くとっているかまでは分かりません。ただ、高所得世帯のほうが、高級な食品を食べている傾向が、はっきりと読み取れます。そして高級品ほど、無農薬・有機・健康などをうたった商品が多いのも、よく知られた話です。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。