有名病院 この診療科のイチ押し治療

【歯科ドック】昭和大学歯科病院(東京都大田区)

歯科ドック室長を務める美容歯科の真鍋厚史教授
歯科ドック室長を務める美容歯科の真鍋厚史教授(提供写真)
心臓病・脳卒中・糖尿病予防にも役立つ

 人間ドックは定期的に受けていても、口の中の健康には無関心という人が多いのではないか。
 同院は、2002年当時は珍しかった「歯科ドック」を開設した施設のひとつ。美容歯科内に併設されている個室診療室で健診を行う。歯科ドック室長を務める美容歯科の真鍋厚史教授はこう言う。

「歯科ドックは、歯と口腔粘膜の健康を保ち、食べる、話す、飲み込む、体のバランスを維持することなどを目指した予防歯科です。そこが、虫歯や歯周病などの疾患の早期発見を主な目的とした一般の歯科健診と違うところです」

 歯科ドックは、口腔内が原因となるあらゆる疾患や機能低下を調べるので、関わる歯科医師の専門分野は、歯周病、う蝕(虫歯)、矯正、口腔外科、補綴など多岐にわたり、6人ほどの歯科医師が2時間かけて健診にあたるという。

 基本的な「メニューA」の検査項目は次の11種類で、料金は2万円(税別)になる。

〈①虫歯②唾液③潜血反応④歯周病⑤口臭⑥舌・口腔粘膜⑦噛み合わせ状態・噛む力⑧開口量測定⑨エックス線撮影⑩口腔内写真撮影⑪お口の汚れ程度〉

「唾液の検査は、唾液量、ペーハー(酸・アルカリの度合い)、細菌の種類と数だけでなく、唾石症の原因になる石があるかどうかもチェックします。口臭は、舌苔、歯周病、咽頭部の炎症や潰瘍、胃腸などが原因になりますが、オーラルクロマという検査器を使うことで、その臭いのもとも分かります」

■検査後に相談もOK

 メニューAを受けた人には、各種の相談にも有料(1項目1000円・税別)で応じている。歯ぎしりや食いしばりのクセ、いびき、飲み込み困難、金属アレルギー、スポーツ用マウスピース作成など、普段気になる悩みを専門分野の歯科医師に相談することができる。滑舌などの発音に関しても、言語療法士が対応してくれるという。

 オプションメニューの「メニューB」は2項目ある。歯の色が気になるなどの「歯の色の検査」は3000円(税別)、虫歯・歯周病の「細菌検査」は1菌種1万円~(同)になる。

「一般に歯科ドックはまだ十分認知されているとはいえず、希望する人の大半は歯科治療をした後の継続的なケア(美容歯科の『お口の健康センター』で対応)として利用されるケースです。しかし、歯周病は心臓病や脳卒中、肺炎などの発症に関与したり、糖尿病のコントロールに悪影響を及ぼします。因果関係をみる意味でも、人間ドックと合わせて歯科ドックを受けるのが上手な健康管理といえると思います」

 歯科ドックの結果が出るのは2週間後で、担当の歯科医師が結果報告と説明をしてくれる。各種の相談を希望している場合は、このときに一緒に行う(1項目10~15分程度)という。

 口の中は健康と思っていても、意外と異常が見つかるもの。保険は利かないが、歯が悪くなってから治療が長引くよりもずっと安上がりだ。