家計簿を見れば病気がわかる

金持ちが買う野菜の種類

(C)日刊ゲンダイ

 低所得者は、高所得者と比べてビタミンやミネラルが不足気味であることがさまざまな研究から明らかになってきています。そこで今回は、野菜の消費について見ていくことにしましょう。

〈表〉は、年収別・勤労世帯の1年間(2014年)の野菜購入金額と、購入アイテム数をまとめたものです。年収が上がるにつれて、金額もアイテム数も着実に増加していることが分かります。年収300万円世帯では約4万6000円分を使っていますが、1500万円超の世帯は2倍近い金額を使っています。アイテム数(個数・パック数・袋数など)では、1.5倍以上の開きがあります。つまり、所得が高い世帯ほど野菜を頻繁に買っているのです。世帯の平均人数は、年収によらずほぼ同じですから、高所得の家庭ほどより多く食べていると推測できます。

 野菜の種類別に見ると、高所得世帯と低所得世帯の購入数で特に大きな差があるのが、サヤマメ(3.0倍)、レンコン(2.5倍)、タケノコ(2.5倍)、生シイタケ(1.9倍)、カボチャ(1.9倍)、ナス(1.9倍)など。逆に差が小さいのが、モヤシ(1.1倍)、ジャガイモ(1.1倍)、ニンジン(1.1倍)、タマネギ(1.1倍)、キャベツ(1.2倍)など。低所得世帯がベーシックな野菜中心であるのに対し、高所得層ほどさまざまな種類の野菜を食べているといえそうです。

 1日30品目などといわれるように、多くの食材を食べることが健康維持の基本とされています。高所得者のほうが健康で長生きといわれる理由のひとつは、食べている野菜の豊富さにあるのかもしれません。

 また、1アイテムの平均価格には1.2倍の差があります。所得の高い世帯ほど、単価の高い野菜を買っているということです。一般的に、国産野菜は輸入野菜よりも高価です。また、農薬や輸送にかかる時間などを考慮すると、国産野菜のほうがビタミンをはじめとする健康成分が、より多く含まれていると考えられます。仮に、高所得世帯が買う野菜の単価が高い理由を「国産へのこだわり」と解釈すれば、高所得世帯ほど、野菜の健康成分を豊富に摂取している可能性が高い、ということになります。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。