医療数字のカラクリ

「生き残った人だけの治療法」に意味はない

 これまで、患者さんの「行く末」を示す数字のさまざまな見方を示してきましたが、今回からはそうした数字がどのような研究に基づいているのかを見ていきましょう。

 医療にかかわる数字のカラクリを明らかにして、「数字にだまされないようにしよう」というのが本連載の目的です。しかし、「だまされない」ためには、ここまで取り上げてきたような数字の読み方だけでは不十分です。その数字をはじき出したもとの研究の方法に問題があると、いくら結果の数字を詳細に読み込んでも意味がありません。

 もとの研究がしっかりとしたものであるかどうかの吟味が、「数字にだまされない」ためのもうひとつの重要なポイントです。

 例えば、6カ月以上生きた進行がんの患者さんたち100人を調べたら、全員がAという治療を受けていたとしましょう。Aで治療すれば1年後の生存率は「100%」ということでしょうか。

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名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。