医療数字のカラクリ

「生き残った人だけの治療法」に意味はない

 これまで、患者さんの「行く末」を示す数字のさまざまな見方を示してきましたが、今回からはそうした数字がどのような研究に基づいているのかを見ていきましょう。

 医療にかかわる数字のカラクリを明らかにして、「数字にだまされないようにしよう」というのが本連載の目的です。しかし、「だまされない」ためには、ここまで取り上げてきたような数字の読み方だけでは不十分です。その数字をはじき出したもとの研究の方法に問題があると、いくら結果の数字を詳細に読み込んでも意味がありません。

 もとの研究がしっかりとしたものであるかどうかの吟味が、「数字にだまされない」ためのもうひとつの重要なポイントです。

 例えば、6カ月以上生きた進行がんの患者さんたち100人を調べたら、全員がAという治療を受けていたとしましょう。Aで治療すれば1年後の生存率は「100%」ということでしょうか。

1 / 2 ページ

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」院長、「CMECジャーナルクラブ」編集長。自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員。臨床研究適正評価教育機構理事。7月末に「検診や治療に疑問を感じている方! 医療の現実、教えますから広めてください!!」(ライフサイエンス出版)を出すなど著書多数。