花粉症治療には、「初期療法」「導入療法」「維持療法」の3つの方法があります。
初期療法は強い症状が出る前から治療をスタートするもので、導入療法は症状が強くなってから治療を行います。維持療法は改善した症状を維持する療法です。
いまは花粉が飛び始める直前の時期ですから、初期療法についてお話ししましょう。
花粉症の初期療法は、花粉症と診断された患者さんに対し、花粉が飛び始める1~2週間前から薬の服用を開始します。花粉症などのアレルギーは、症状が悪化すると薬が効きづらくなるからです。しかも、症状が軽いうちに薬を使い始めると、花粉の飛散量が多くなった時期でも症状をコントロールしやすいのです。ですから、「毎年この時期は花粉症がツライ」という方に初期治療はオススメの治療法です。
その効果は「2013年鼻アレルギー診療ガイドライン」に明記されています。花粉が飛び始める段階でヒスタミンH1受容体拮抗薬を用いると、鼻の粘膜のヒスタミンH1受容体の増加が抑制され、花粉の飛散がピークを迎えるときのアレルギー性鼻炎症状を抑える可能性があるというのです。
花粉症は症状によって、くしゃみ・鼻水だけの「くしゃみ・鼻漏(鼻水)型」、鼻づまりがある「鼻閉型」、すべての症状が同じように出る「充全型」に分かれます。「くしゃみ・鼻漏型」は第2世代抗ヒスタミン薬(アレジオン、タリオン、ジルテック、ザイザル、アレロック、アレグラ、ディレグラ、クラリチンなど)や遊離抑制薬(インタールやリザベンなど)を使います。
「鼻閉型」または鼻閉を主とする「充全型」には、抗ロイコトリエン薬(シングレア、キプレス、オノン)、または抗プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2薬(バイナス)、またはTH2サイトカイン阻害薬(アイピーディ)の3つの中から1つを処方します。
第2世代抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬を使う初期療法のスタートの時期は、花粉飛散予測日または症状が少しでも表れた時点。その他の薬は飛散開始予測日の1週間前がメドになります。
なお、ガイドラインでも奨励していますが、アレルギー性鼻炎の患者さんは一度は鼻鏡検査を行い、鼻ポリープの有無を確認しておく必要があります。鼻づまりが花粉症でなく、鼻ポリープによる場合があるからです。鼻中隔湾曲症や副鼻腔炎を併発している方は、当然お薬も効きにくくなり、他の薬(抗生剤など)を追加処方する必要があります。
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