TPP(環太平洋経済連携協定)が5年越しの交渉の末、ようやく閣僚合意した。その合意内容の概略が11月5日に公表されたが、日本語訳されたのは2000ページ以上ある正文の一部、100ページ足らず。まるで「詳しい内容を知りたければ英語を読めるようにしろ。英語の読めない下等国民は黙っていろ」というかのような政府の態度に憤る人は少なくない。
TPPに詳しく、「英語化は愚民化」(集英社新書)の著書もある九州大准教授、施光恒氏が言う。
「正文を公表しないのは、政府が国民から突っ込まれたくないからでしょう。官僚がサボっているのです。政府は“国民皆保険は守る”と言いますが、信じられません。しかも、医薬品の償還価格、イコール薬価基準については将来、協議を行うことが日米間の交換文書では記載されている。いずれ、日本政府が薬価を取り仕切る今の制度は障壁と難癖をつけられ、米国の同意なしには薬価が決められなくなる可能性があるのです」
米国の同意がなければ薬価も独自で決められなくなる
英語ができないとTPPに参加できない