Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【飲酒+喫煙】食道がんが芸能人に多いのはWパンチのせい

左から、やしきたかじん、淡路恵子、中村勘三郎も愛煙家だった(C)日刊ゲンダイ

 食道がんが芸能人に相次いでいるのは、「飲酒+喫煙」の生活習慣が多分に影響していると思われます。私は、30年近くがん治療に携わっていますが、食道がんの患者さんで、酒もたばこもやらない方は、ほとんどいません。それくらい、ダブルでの影響が強いのです。

 このがんが厄介なのは、食道の外側を覆う膜がないため、早期に転移しやすいこと。勘三郎さんも、診断された時点で、リンパ節に転移がありました。そんな事情から、転移がんを叩くため、手術と並び、放射線と抗がん剤を併用する「化学放射線治療」も行われていますが、放射線単独に比べて副作用が強くなりやすい。

 苦しい治療を免れるためにも、予防と早期発見が第一。「禁酒+禁煙」が無理なら、どちらかを控えることです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。