改善率84% 膝痛には4つの「タイプ別」リハビリ法がある

左は腰椎型、中央と右は膝関節型
左は腰椎型、中央と右は膝関節型(C)日刊ゲンダイ

 膝の痛みのある人の約半数は40~50代から感じ始めているという。階段の上り下りや和室での生活、遠方への外出や旅行がつらくなり、ひどくなると、掃除、買い物、車の乗り降りといったことすら困難になる。なんとかできないか? お茶の水整形外科の銅冶英雄理事長(日本リハビリテーション医学会専門医・日本整形外科学会専門医)に聞いた。

 膝痛治療は一般的に、薬、サポーター、温熱、運動などの保存療法を行い、それで効果が見られなければ手術が検討される。銅冶理事長は毎月500人ほどの膝痛患者を診ているが、6年前の開院以来、手術の検討が必要になった膝痛患者はほとんどいないという。力を入れているのがリハビリだ。

 銅冶理事長ならではの特徴は、膝痛を大きく4タイプに分け、それぞれに応じたリハビリを指導している点だ。

 膝痛は画像診断の結果とは必ずしも一致せず、さまざまな要因が複合的に絡み合って痛みを引き起こしている。そのため1種類の方法では対処しきれない。

「試行錯誤の末、膝痛は4タイプに大別できるという結論に至りました。原因は何であれ、痛みをとにかく取り除くことを目標に、痛みの生じ方のタイプからアプローチするのです」

 次の手順でタイプを探っていくといい。

①腰を動かす
「腰を反らす」「前に曲げる」「右か左に動かす」を行う。これらで膝痛が改善すれば、腰が原因の「腰椎型」。

②膝を動かす
「膝を曲げる」「伸ばす」を行う。痛みが改善すれば、膝関節が原因の「膝関節型」。

③膝のお皿を押す
 膝のお皿の周りを上下左右の4つに区分し、それぞれを両手の親指で押す。これらで痛みが改善すれば、膝のお皿が原因の「お皿型」。

④下肢の筋肉を押す
 太ももやふくらはぎの筋肉を両手の親指で押し、痛みが改善すれば「筋肉型」。

「①~④は、膝痛の原因で多い順番になっています。①も②も当てはまるという人もいますが、その場合は①のタイプに合ったリハビリから行い、②のタイプのリハビリも追加して行います」

■1週間で軽減

 それぞれのリハビリ法を紹介していこう。

・腰椎型
 壁に両手をついて立ち、肘と膝を伸ばしたままゆっくりと腰を反らす。あごを引き、腰を反らした状態を2~3秒間保つ(写真A)。

・膝関節型
①イスの座面に痛む側の足を乗せて伸ばす。膝の上に両手を乗せ、膝裏が伸びきるまで垂直方向に押す。そのまま1~2秒保ち、力を抜く(写真B)。

②イスの座面に痛む側の足を90度に曲げて乗せる。膝の上に両手を乗せて体を前に倒す。膝を限界まで曲げたところで1~2秒保ち、元の姿勢に戻る(写真C)。

・お皿型
 イスに座った状態で、膝を上下左右の4つに区分し、それぞれを両手の親指で軽く押す。押す時に、親指が膝の中心を向くようにする。押す指は動かさない。押しながら、小さく足首の曲げ伸ばしをする。

・筋肉型
 同じくイスに座り、太ももやふくらはぎの筋肉を両手の親指で押す。押す指は動かさず、押しながら小さく足首の曲げ伸ばしをする。

「朝昼晩1セットずつ、1セットにつき7~8回を目安にしてください。腰椎型と膝関節型は痛みに応じて回数を多くしても構いませんが、お皿型と筋肉型はやりすぎると痛みが強くなることがありますので注意が必要。だいたい1週間ほどで痛みの軽減を感じます」

 銅冶理事長がこれまでに取った患者アンケートでは、改善率は84%だ。

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