当事者たちが明かす「医療のウラ側」

薬剤使用で“口腔殺菌” 歯磨きよりも有効なのか?

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 そのため、口腔内ケアの基本となる歯磨きを続けると、心筋梗塞や脳梗塞、がん、認知症、糖尿病などの予防に役立つといわれているのです。

 ならば、「歯磨きなんてまどろっこしいやり方をやめて、口腔内の細菌をやっつけるような薬剤を使えばいいのではないか」という考え方を持つ人が現れるのは当然です。

 実際、さまざまな薬剤でうがいをしたり、マウスピースのようなものを作り、そこに強力な薬を塗って細菌を殺すなどの試みが行われています。しかし、それが普及しないのは、その効果が限定的だからでしょう。

 例えば、口腔内には必要な常在菌もいるわけで、それを一網打尽にするのは長い目で見ればマイナスです。また、薬剤の効果を高めるには歯垢をキレイに除去しなければなりません。しかし、歯垢をある程度除去できれば口腔内に悪い細菌がそれほど増殖することはなくなるはずで、薬剤を使う必要性は薄れてしまいます。また、口腔内に細菌が増えるのは噛み合わせや、その人の免疫力にも関わるため、それを治さなければ薬の効果は限定的でしょう。

 いまのところ、健康を維持するためには、やっぱり歯磨きをマメにすることだろうと思います。

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