家計簿を見れば病気がわかる

夏の果物「スイカ・桃」の消費量 金持ちと貧乏で大きな格差

(C)日刊ゲンダイ

 果物は、ビタミンや抗酸化物質などの宝庫です。全世帯平均の消費額では、バナナがトップ。ついでリンゴ、僅差でミカンとなっています。所得別では、どうなっているのでしょうか。

 まず果物への出費ですが、年収300万円世帯で、年間2万1000円ほど。しかし他の食品と同様、年収が増えるにしたがって金額も上昇します。年収1500万円超の世帯は、約4万6000円で、2.2倍となっています。

 年収300万円世帯で一番多いのは、やはりバナナでした。果物への全出費の約16%を占めています。次いでミカン(14%)、リンゴ(11%)、イチゴ(10%)、梨(7%)、ブドウ(5%)という順番です。

■金持ちが好む果物はイチゴ

 一方、年収1500万円超の世帯では、意外にもイチゴが第1位(12%)。イチゴといえばビタミンC。しかし、それだけでなく、アントシアニンを豊富に含んでいます。アントシアニンはポリフェノールの一種でブルーベリーに大量に含まれているのですが、実はイチゴの赤い色の成分でもあるのです。ビタミンCとの相乗効果で、かなり強力な抗酸化作用を期待できます。

 次いでリンゴ(10%)、ミカン(9%)、バナナ(9%)、梨(6%)という順位になっています。

 ちなみに、ミカンを含む柑橘類全体の消費額は、所得にかかわらず果物の全消費額の2割程度です。ということは高所得層ほど、単価の高いグレープフルーツやオレンジなどを豊富に食べていることになります。低所得世帯ほど庶民的なものを食べているわけです。

 ただし、バナナ、リンゴ、ミカンには、血糖値を抑えたり、生活習慣病を防いだりする効果があることが知られています。ですから、果物に限れば、低所得層と高所得層の健康格差は、消費金額ほどには広がっていないようです。

 ただ、夏の果物である桃(4.6倍)とスイカ(3.5倍)には、大きな格差が見られます。桃はビタミンEが豊富、スイカはさまざまなビタミンとミネラルを含んでおり、さながら食べるスポーツ飲料。夏バテや紫外線対策に有効です。桃やスイカを豊富に食べている高所得者は、低所得者よりも暑さに強く、活動的といえるかもしれません。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。