心臓に血液を戻す静脈には皮膚に近いところにある「表在静脈」と深いところにある「深部静脈」があります。
深部静脈のなかで血液が固まり(凝固)血栓ができることを「深部静脈血栓症」(DVT)といい、その血栓が肺の動脈に詰まる病気が「肺血栓塞栓症」(PE)です。2つを合わせて「静脈血栓塞栓症」と呼びます。
DVTは、詰まる場所(頚部・上肢静脈、上大静脈、下大静脈、骨盤・下肢静脈)により症状が異なります。
下肢の静脈が完全に詰まると、血がたまって下肢が腫れます。これが長期間続くと皮膚に潰瘍ができることがあります。
DVTは、日本で年間1万5000例と推測され、女性にやや多く、40歳以上の中高年の患者さんが目立ちます。その主な原因は①手術(特に整形外科や脳神経外科)、転倒、炎症、および薬品による静脈の内皮障害②長距離飛行や手術・ケガによる血流の停滞③遺伝子の変異、凝固を防ぐプロテインC、Sの遺伝子欠損、抗リン脂質抗体症候群、多血症、避妊ピルやホルモン代替療法、妊娠、がんなどによる血液の凝固亢進です。
しなやかな血管が命を守る
片足が腫れる足の静脈血栓症に気を付けろ
手術も発症原因のひとつ