しなやかな血管が命を守る

片足が腫れる足の静脈血栓症に気を付けろ

東邦大学佐倉病院の東丸貴信教授(C)日刊ゲンダイ

 最近は、直接トロンビン阻害薬(ダビガトラン)および活性化した第Ⅹ凝固因子の阻害薬(エドキサバン、アピキサバン 、リバロキサバン)がより安全な治療薬として使用され始めています。大きな血栓は血栓溶解薬で治療されます。ウロキナーゼや組織プラスミノーゲン活性化因子は血塊を溶解し、ヘパリンのみよりも効果的に静脈炎後症候群を予防すると考えられています。また、カテーテルという細い特殊な管を使用する血管内治療も行われています。これを使って、血栓溶解剤を血栓に注入したり、吸引・破壊などで機械的に血栓を除去する方式もあります。手術が必要なケースはまれですが、血栓溶解薬に無反応の有痛性白股腫または有痛性青股腫には、血栓除去術、筋膜切開術、またはその両方が行われることがあります。

 DVTを予防するには①手術や病気後できるだけ早くベッドから出て動く②4時間以上の長時間移動の際は、定期的に足を動かし血液の循環を良くする③弾性圧迫ストッキングを着用する④水分を取る⑤禁煙する――などが大事です。

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東丸貴信

東丸貴信

東京大学医学部卒。東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理・循環器センター教授、日赤医療センター循環器科部長などを歴任。血管内治療学会理事、心臓血管内視鏡学会理事、成人病学会理事、脈管学会評議員、世界心臓病会議部会長。日本循環器学会認定専門医、日本内科学会認定・指導医、日本脈管学会専門医、心臓血管内視鏡学会専門医。