いま、日本の外科治療は「低侵襲」という方向に進む流れが強くなってきていることを前回お話ししました。患者さんの負担を軽減した、体にやさしい手術法がクローズアップされています。
心臓手術では、「MICS(ミックス)」と呼ばれるもので、胸骨を大きく切らない小切開手術や、すべて内視鏡を使って処置する方法が登場しました。
しかし、何より「低侵襲」を優先するあまり、低侵襲手術が可能な患者さんを探し出し、確実な手術修復よりも小切開の術式を優先したり、従来なら手術が必要ないほど症状が軽い患者さんに対し、低侵襲手術を行うといったケースも出てきています。これは、患者さんにとって決してプラスとはいえません。
患者さんの多くは、病気というと「とにかく早く発見して、早く治療や手術をしたほうがいいに決まっている」というイメージを抱いています。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」