どうなる! 日本の医療

「高度急性期病院」同士で熾烈な生存競争

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 その結果、年間5000件の手術件数があっても淘汰される病院が出る可能性があるという。

 そうならないために、多くの高度急性期病院では空きベッドを減らす目的で入院期間が90日を超える、“慢性期患者”を抱え込んでいるという。

「病院によっては2~3割近くの入院患者さんが、これにあたるといわれています。現在は7対1病院(入院患者7人に対して看護職員が1人勤務)の入院費が1日6万~8万円。慢性期の病床に移動すれば1日1万8000円程度ですから、急性期病院にとっては、患者さんに長く入院してもらった方が収入が多くなる仕組みです。しかし、今年の改定でここに大ナタがふるわれ、急性期での入院が長くなると1日の診療費をどんどん下げると厚労省が宣言しています。急性期病院は患者さんをどんどん退院させて、どんどん入院してもらわないと経営できなくなる。厚労省は非効率的な急性期医療を適正化しようとしているのです」

 あなたの自宅近くの病院が突然なくなる。そんな事態がここ数年以内に訪れるかもしれない。

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村吉健

村吉健

地方紙新聞社記者を経てフリーに転身。取材を通じて永田町・霞が関に厚い人脈を築く。当初は主に政治分野の取材が多かったが歴代厚労相取材などを経て、医療分野にも造詣を深める。医療では個々の病気治療法や病院取材も数多く執筆しているが、それ以上に今の現代日本の医療制度問題や医療システム内の問題点などにも鋭く切り込む。現在、夕刊紙、週刊誌、月刊誌などで活躍中。