米有力紙「時代遅れ」と指摘の腹筋運動 正しい鍛え方は?

(C)日刊ゲンダイ

 両手を頭の後ろで組み、肘が膝にあたるまで上体を起こす――。

 誰もがやってきた腹筋運動について、米有力紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が昨年末に「時代遅れだ」と報じ、世界のアスリートに衝撃が走っている。

 問題の記事によると、米海軍の専門誌が最近掲載した論文で、海軍兵士が毎年2回パスする必要のある体力測定から腹筋運動を除外するよう要求した。原因は、著名なインストラクターや軍の専門家らが、背中や腰回りを痛めるリスクが高いと声を揃えているため。

■カナダ軍は体力テストから除外

 論文は腹筋運動を「時代遅れの運動」と指摘し、「現在、腰回りを痛める主要な原因とみなされている」と記しているという。

 実際、米軍兵士1500人を対象に軍の体力測定3部門(腹筋運動、ミニマラソン、腕立て伏せ)から発生したケガを調べると、56%が腹筋運動絡みという断トツのデータもある。カナダ軍は米軍に先駆け、体力テストから腹筋を除外。ケガの確率の高さと軍の仕事との関連性の低さが、その理由だった。

「『シットアップ』と呼ばれる従来の腹筋運動は、2つ以上の関節を動かす『多関節運動』。脊柱(背骨)を曲げつつ、股関節も曲げます。正しく行えば効果的な筋トレですが、股関節を曲げる腸腰筋が背骨に付着しているため、屈曲のたび背骨にストレスがかかる。また、勢いよく行って背中を大きく丸めると、椎間板内の圧力が上がり、神経を圧迫して腰痛が起こりやすくなるのです。アスリートならともかく、一般の人にはおすすめしません」(カリスマスポーツトレーナーの坂詰真二氏)

 WSJは〈潜在的に椎間板ヘルニアを発症させる恐れがある〉と散々な書きようで、メタボ腹を引っ込ませようと、腹筋運動にせっせと励んでいた人は大ショックだろう。じゃあ、腹筋を鍛えるにはどうすればいいのか?

 WSJ推奨は、ヨガから派生した「プランクポーズ」。肩と垂直の位置にヒジを床につけ、かかとから肩まで水平に保つのがポイント。日刊ゲンダイの記者が実際に試すと、かなりキツイ! ホンの数秒で額に脂汗がにじんできた。

「両手を腰の下に敷き、両肩を床からチョットだけ離す『カールアップ』も安全で効果的です。日常的に運動していない方なら、まずプランクポーズを行い、次のステップとしてカールアップを行うといいでしょう」(坂詰真二氏)

 最先端の腹筋運動で、「目指せ! シックスパック」だ。

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