Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【糖尿病の人】肝臓、大腸、すい臓、胃に腫瘍ができやすい

斉藤仁(左)と立川談志(C)日刊ゲンダイ

「糖尿病と癌に関する委員会」の調査では、肝臓がんは約2倍、すい臓がんは約1.9倍、大腸がんは約1.4倍。別の久山町研究では、糖尿病発症からの期間が長いほど、病状が悪いほど、胃がん発症リスクが高まることが示されています。そしてこのほど、国立がん研究センターなどは、糖尿病と診断されていなくても、血糖値が高めだと、がんリスクが高まると報告しました。

■高血糖を防ぐ食事と運動

 なぜ糖尿病の人にがんが多いのか、詳しいメカニズムは不明ですが、高血糖状態がよくないことは間違いありません。これらのことから、がんを防ぐための知恵が浮かび上がってきます。

 糖尿病の人は、糖尿病の治療と並行して毎年、がん検診を受けることがひとつです。2人に1人ががんになる今、糖尿病の人は予備群を含めると2000万人を超えていますが、治療を受けているのは6割ほど。4割は、あえてがんになる道を突き進んでいるともいえるかもしれません。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。