寿命縮める「夜間頻尿」 原因の“悪習”はこうして克服する

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 夜間に何度もトイレに行きたくなる「夜間頻尿」は、高齢者の場合、転倒や肺炎のリスクを高め、寿命が短くなるという研究結果がある。

 夜間頻尿の原因には、寝る前の「水の飲み過ぎ」や飲酒などの生活習慣、あるいは前立腺肥大、過活動膀胱、睡眠時無呼吸症候群、腎臓病、糖尿病といった病気の可能性がある。改善させるには、生活習慣の見直しや病気治療が先決だが、それでもよくならない場合は、次の方法を試してはどうだろう。北浦和・石井クリニックの石井泰憲院長に聞いた。

■鎮痛薬が思わぬ作用

(1)夕方にウオーキングをする

 体内をめぐる血液やリンパ液は、立位では筋力の低下などで重力に逆らえず、夕方になると下肢にたまってむくみを起こしがち。横になると、たまっていた血液やリンパ液は大血管に戻り、水分は腎臓から尿として排泄される。この尿が夜間に多いと刺激で目が覚める。

「ウオーキングをするとふくらはぎが刺激されて血流などが良くなり、血液、リンパ液が心臓に戻りやすくなります。早朝は効果がないが、夕方以降のウオーキングは下肢のむくみを改善し、余分な水分を就寝前までに腎から尿で出してくれる。夜の尿が少なくなって夜間排尿の回数が減り、安眠できます」

(2)就寝1時間前にマッサージして足を上げる

 足首から順に上にいくように、ふくらはぎを両手でマッサージ。もんだりさすったりすればいい。また、数十分の足上げだけでも効果がある。

「(1)と同じで、血液とリンパ液が心臓に戻りやすくなります」

(3)寝る2~3時間前に風呂に入る

「血流がよくなり、寝る前に下肢の水分が尿となって出ます」

(4)塩分を減らす

「塩分の過剰摂取は体内のナトリウムとのバランスを崩し、水分を欲するようになります。すると夜間の尿量が増え、頻尿になる。特に夕食は、塩分少なめのメニューにした方がいい」

(5)漢方薬を用いる

「夜間頻尿の改善には、八味地黄丸、牛車腎気丸などがいいといわれています。漢方薬の処方も医師に相談してみてください」

(6)ロキソニン(一般名ロキソプロフェン)を寝る前に飲む

 なかなか改善しない夜間頻尿に悩んでいる患者に、石井院長が“とっておきの方法”としてアドバイスしているのが、消炎・鎮痛薬「ロキソニン」の服用だ。

「3つの作用機序があります。まず腎臓での血流を少なくして、夜の尿量を減らす。次に、膀胱や尿道に対する刺激を抑え、排尿を抑制する。さらに、膀胱から脳への神経にも作用し、トイレに行きたい感じを抑える。これで睡眠を十分に取れるようになります」

 ロキソニンは、服用した時だけ頻尿に対する効果を発揮し、長時間は持続しない。だから一日中頻尿に悩んでいるなら、作用時間が長い抗コリン薬が適している。しかし「限られた時間の頻尿ならロキソニンがいい」と石井院長は話す。

「服用してから30分ほどで効果を発揮し、4時間ほど持続します」

 研究では、頓服的な使い方であれば、消化器症状や腎機能障害などの副作用は見られなかった。しかし、ロキソニンをむやみに服用すると副作用の心配があるため、服用前には医師へ相談を。また、頻尿へのロキソニンの適応は、厚労省から認められていないことも頭に入れておかなくてはならない。

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