医者も知らない医学の新常識

突然死は予防できるのか

(C)日刊ゲンダイ

 医学が進んだ現在でも、病気のない元気な中年や若者が「突然死する」という事態が少なからず起こります。これを書いている私も、読んでいるあなたも、「突然死」に見舞われないとは限りません。

 こうした予期せぬ突然死の多くは、何らかの原因により心臓が急に停止する「急性の心停止」であると考えられています。若いサッカー選手が、練習中に突然、心筋梗塞を起こして帰らぬ人となった……というようなケースもありました。一見、健康に見える心臓でも、見えないところに爆弾を抱えているというようなことはあるのです。

 それでは、このような突然の心停止を予防することはできるのでしょうか? 昨年、アメリカの一流の医学誌に興味深い結果が報告されています。アメリカで突然の心停止の発作を起こした839人の患者さんの発作前の状態を調査したところ、その半数を超えるケースで「発作前の1カ月以内に胸の痛みや呼吸困難などが一時的に生じていた」ことが明らかになったのです。一番多い症状は胸の痛みでした。そして、その痛みに対して、すぐに救急受診をした方が、しない場合の5倍以上も発作時の救命率が高かったのです。

 急に起こるような胸の痛みは、すぐにそれが治まってもまずはお医者さんの診察を受けること。これが、突然死の一番の予防法であるのかもしれません。

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。