蔵王連峰の麓に位置する、宮城県白石市。冬は厳しい蔵王おろしにさらされるが、その冷たい風によって白石の伝統食品が作られている。
それが“凍み豆腐”だ。凍らせた豆腐を乾燥させたもので、呼び名は違うが高野豆腐と同じものになる。
冷凍機を使って凍らせるものが多いのだが、白石の凍み豆腐は蔵王おろしの冷風にさらして作られている。そのため、冬季にしか製造されない。
昨年末、宮城県にUターンした山田淳司さんはこう話す。
「実を言うと、白石の凍み豆腐はこれまで知りませんでした。でも、初めて食べてみたら大豆の風味が感じられ、うま味も凝縮されていてびっくり。鍋や味噌汁など、いろんな料理の具材として使っています」
うま味だけでなく、凍み豆腐には豆腐の栄養も凝縮されている。3大栄養素においてはタンパク質と脂質が豊富である。
タンパク質は人間の体をつくる重要な成分のひとつで、免疫力も高める。また、脂質というと太るイメージがあるが、凍み豆腐の場合は約8割が不飽和脂肪酸で、中性脂肪やコレステロールの低減に役立つといわれている。
現代人に不足しがちなカルシウムや亜鉛、マンガンなどのミネラルが豊富な点もうれしい。
さらに、凍み豆腐に含まれる大豆サポニンは動脈硬化を抑制し、食物繊維は腸内の善玉菌の働きを活性化してくれる。
健康食といわれる豆腐を上回る活躍ぶりだ。
真似したい伝承療法