放置すると命に影響も 「怖いめまい」は最新MRIで見つける

高磁場装置のMRI
高磁場装置のMRI(提供写真)

 冬になると、血管の収縮・拡張や、自律神経の乱れなどからめまいが増えるといわれる。めまいには大きく分けて、グルグル目が回る感じがする「回転性のめまい」と、目が回る感じはなくふらつきやよろめきなどがある「非回転性のめまい」がある。放置すると命にかかわるものもあるので素人判断は禁物だ。東京・八重洲クリニックの澤野誠志院長に聞いた。

 めまいの6割を占めているのが回転性めまいで、耳の疾患が関係している「良性発作性頭位めまい症」「メニエール病」、良性腫瘍だが脳の聴神経を圧迫する「聴神経腫瘍」などがある。

 一方、残り4割の非回転性めまいは、血圧変動や心因性、内分泌疾患などのめまい、そして脳出血や脳梗塞といった脳血管障害や脳腫瘍、一過性脳虚血発作などによるものだ。

 放置すると命にかかわる可能性があるのは、非回転性めまいのうち脳に関するもの。また、聴神経腫瘍は良性腫瘍ではあるが、場合によっては耳の機能を失うかもしれない。

 だから、めまいがあればこれらの疾患の有無をMRIなどの画像検査でチェックすることが重要になってくる。

 しかし、実は「MRIを受ければ安心、というわけではない」ということを頭に入れておくべきだ。

「大きな病変ならわかりやすい。しかし、小さな変化は見逃しやすいのです。MRIの性能と、医師の読影技術がポイントになります」

 画像診断を専門に行う八重洲クリニックでは、MRI装置8台のうち5台が高磁場装置「3.0テスラ」。

「テスラとは磁場強度を示し、磁場強度が高いほど高精細な画像を得ることが可能です。たとえば聴神経腫瘍では5ミリほどの大きさのものもあり、これは耳の奥を1ミリくらいの厚さでスライスしないと見落としがちなのですが、3.0テスラのMRIではそれが可能なのです」

 3.0テスラのMRIと、1.0テスラのMRIでは、同じMRIでも疾患の“発見率”に大きな隔たりがある。

 また、撮影する枚数も違う。

「撮影方法には幾通りかあるのですが、画像枚数でいえば、脳の場合、当院では20~30分かけて500枚以上、場合によっては1000枚以上の画像を撮影します。しかし、古い型のMRIでは撮影に時間がかかるので、検診施設では100枚や200枚程度になります。100枚撮って見るのと、1000枚撮って見るのとでは、やはり結果が違ってくるでしょう」

 さらに、だれが読影するかが重要だ。MRIなどの画像検査の“専門家”は放射線科医になる。

「MRIの読影は専門知識が必要です。放射線科医がMRIを行うことで『この症状ならこの辺りに病変がある』と推測し、撮影する場所も変えます。脳の小さな病変も見落とさないようにするには、放射線科医が読影し、整理された情報を脳神経内科医や脳神経外科医が取捨選択する流れがベストなのです」

 ほかの医療機関のMRIで異常なしだったが、同クリニックで検査を受けて異常が見つかったという患者も少なくない。

「磁場強度が高い最新のMRI」「撮影枚数」「放射線科医による読影」の3つがそろった医療機関は残念ながらそう多くはない。しかし、今はホームページなどで情報を開示しているところがほとんど。めまいがあれば、「検査を受ける」に加え、「どこで受けるか」も考慮すべきなのだ。

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