家計簿を見れば病気がわかる

独身者は“年間100食分”を調理食品でしのいでいる

独身者にとって便利で手間いらずな調理食品
独身者にとって便利で手間いらずな調理食品(C)日刊ゲンダイ

 独身者を年収別に分けると、「300万円」のラインで年金組と現役組に分かれます。そこで、「年収300万円以上の現役組」だけにスポットを当てて見ていくことにしましょう。現役独身者は自炊をあまりせず、弁当・おにぎり・料理パンなどの調理食品と、外食が中心という話を以前しました。

 では、それらについて年収別の違いは見られるでしょうか。

 今回は、調理食品について見てみましょう。その消費金額を〈表〉にまとめました。食への総支出は56万~81万円。そのなかで調理食品が占める金額は8万円(14%)~9万9000円(16%)です。

 調理食品への支出は、年収とともに増える傾向にはありますが、あまり大きな差は見られません。というよりも、年収400万円台と600万円以上でほとんど同じ。年収500万円台の人がもっとも多く消費しているのですが、それとて数千円の違いに過ぎません。項目別では、弁当への出費が全体の3割前後を占めています。年収300万円台では2万1000円、年収500万円台から上では約3万円。しかし、この差が弁当の消費数によるものか、それとも価格差によるものか、までは分かりません。

 その他の食品の消費額に、年収差はほとんど反映されていません。あえて細かく見れば、すし弁当とおにぎりの消費額では、年収500万円台がトップ。調理パンは年収600万円以上が多め。揚げ物(コロッケ・カツ・天ぷら・フライ等)は年収の低い人のほうが、より多く消費する傾向にあります。サラダについては、年収500万円台が多めに消費しており、年収300万円台は少なめです。

 なお、弁当の価格を1個500円、すし弁当を800円、おにぎり1食分(2個)を300円、調理パン1食分を500円として計算すると、独身者は、年間85食から105食分を、調理食品でしのいでいる計算になります。

 一般に、所得が高い人ほど自分の健康に気をつかう傾向があるといわれています。しかし、調理食品への出費には年収差はほとんど見られません。所得の高低によらず、独身者の多くが手間要らずの食事を優先している実態が垣間見えます。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。