どうなる! 日本の医療

厚労省通達で高まるざわめき スマホ診療が現実のものに?

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 病院に行かなくても、自宅にいながらにして医師に診察してもらえる─―。夢物語だった遠隔診療が、実現に向けて動きだしているのをご存じだろうか? テレビ電話による遠隔診療の実証研究に参加している、前東京女子医大教授で「栗原クリニック東京・日本橋」の栗原毅院長に聞いた。

 きっかけは、昨年8月10日に出された厚労省通達。これまでは、限定的に僻地医療、慢性疾患、在宅医療など一部の分野で行われてきた遠隔診療が、「情報通信機器を用いた診療(いわゆる『遠隔診療』)について」の通達により、医療関係者の間で事実上の「遠隔診療解禁」と受け止められたからだ。

「医師法第20条には、診察は原則として患者さんと対面で行うと定められています。そのため、遠隔診療は『平成9年遠隔診療通達』が認めた、直接の対面診療を行うことが困難な一部の離島、僻地、在宅などの患者さんを対象に、実験的に行われているに過ぎません。ところが、昨年の通達では、離島や僻地などは単なる例示であるとして、こうした患者さん以外に遠隔診療を行っても、医師法20条に抵触しないと読める内容の通達が出されたのです」

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村吉健

村吉健

地方紙新聞社記者を経てフリーに転身。取材を通じて永田町・霞が関に厚い人脈を築く。当初は主に政治分野の取材が多かったが歴代厚労相取材などを経て、医療分野にも造詣を深める。医療では個々の病気治療法や病院取材も数多く執筆しているが、それ以上に今の現代日本の医療制度問題や医療システム内の問題点などにも鋭く切り込む。現在、夕刊紙、週刊誌、月刊誌などで活躍中。