どうなる! 日本の医療

厚労省通達で高まるざわめき スマホ診療が現実のものに?

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

■初診時の「対面診療なし」でも可

 しかも、これまでは初診時の対面診療が絶対条件とされていたが、新通達では必ずしもそうではないと明示されている。

「遠隔診療が実現すれば、その効果は計り知れません。通院が難しい僻地や孤島への診療が容易になり、その医療水準は格段に上がるでしょうし、都会の独居老人、体が不自由な人にも役立つでしょう。コストの問題などで自宅で遠隔診療が受けられなくても、公民館などで遠隔診療ができれば、そこに新たなコミュニティーが生まれ、住民の健康意識も高まる。慢性的な医師不足の切り札にもなります。出産や子育てなどで医療現場を離れざるを得ない女性医師、高齢な医師の再活用にもつながるからです」

 むろん、遠隔診療がさまざまな医療ビジネスを生むのは間違いない。

 例えば、小型のデジタル体温計と聴診器をスマホに接続し、心音、肺音、体温という基本的な健康データを記録。それを医師と共有することで、遠隔医療サービスを受けられるようになるかもしれない。あるいは、遠隔医療による医師の監督・指導の下、看護師らの採血や注射が可能になる可能性もある。団塊の世代が75歳を越え、医療混乱が予想される2025年問題解決の一手との期待も膨らむ。

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村吉健

村吉健

地方紙新聞社記者を経てフリーに転身。取材を通じて永田町・霞が関に厚い人脈を築く。当初は主に政治分野の取材が多かったが歴代厚労相取材などを経て、医療分野にも造詣を深める。医療では個々の病気治療法や病院取材も数多く執筆しているが、それ以上に今の現代日本の医療制度問題や医療システム内の問題点などにも鋭く切り込む。現在、夕刊紙、週刊誌、月刊誌などで活躍中。