家計簿を見れば病気がわかる

年収と比例する独身者の外食費

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 独身者は外食が多いとよくいわれます。現役独身者(年収300万円以上)の外食費を〈表〉にまとめました。

 金額は年収に応じて増えており、年収600万円超の人では、年間39万円(約3万3000円/月)を使っています。食への全支出に対する割合も極めて高く、年収300万円台の人で37.5%、600万円以上の人では実に50%近くに達しています。前回取り上げた調理食品と合わせると、年収300万円台の人で約50%、年収600万円超の人で約60%にもなります。

 独身者の体は、外食と弁当・おにぎり・調理パン・揚げ物などで出来ているといっても過言ではありません。

 内訳を見ると、食事代には約1.5倍の所得格差がうかがえます。家計調査の食事代のデータは「和食」「洋食」「中華」「ラーメン」などに項目分けされていますが、特に和食と洋食で、低所得層と高所得層の消費金額に大きな格差が認められます。

 しかし、ラーメン代には所得格差は認められません。いずれの所得層も、1万円から1万2000円ほど使っています。もちろん、あくまでも平均です。ラーメン好きなら、年間100杯(数万円~10万円)以上食べる人も珍しくないでしょう。

 ちなみにハンバーガーについては、低所得者のほうがよく食べています。しかし金額的にはわずかで、年間4000円ほどにとどまっています(高所得者では2000円未満)。

 外食費の中で、もっとも大きな比重を占めているのが飲酒代です。低所得層でも、年間7万数千円を使っています。年収600万円超の独身者では、実に13万円に達しています。

 女性は外であまり飲まないと思われるので、男性独身者の飲酒代はこれよりもかなり高額になっているはずです。妻帯者の目には、まさに独身貴族の優雅な生活と映ります。

 しかし、外食と調理食品を中心とした食生活では、栄養にかなりの偏りが生じるはずです。まして、酒の肴は塩分やプリン体が多かったり、脂肪分が高かったりと、問題の多いものが数多く含まれています。若くして突然死などという事態を避けるためには、出来るだけ自炊するなど食の改善を進める必要があります。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。