役に立つオモシロ医学論文

低炭水化物ダイエットで死亡リスクが増える?

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 低炭水化物ダイエットをご存じでしょうか。白米など炭水化物の摂取を控え、タンパク質を多く摂取するようなダイエット法で、効果的に体重が落ちるとか、リバウンドしにくいなどといわれているようです。

 しかし、主食である炭水化物の摂取を控えるダイエット法は安全と言えるのでしょうか。ダイエットは体重が減ること自体が目的となることも多いですが、体重が減ることによって、より健康で長生きできることも目的の一つです。

 スウェーデンの内科専門誌2007年4月号に、「低炭水化物ダイエットと死亡のリスク」を12年にわたり追跡調査した論文が掲載されています。この研究はスウェーデン在住で30~49歳の女性4万2237人が対象となりました。

 タンパク質の摂取状況については、摂取が一番少ない点数を1点として、1~10点で評価し、炭水化物の摂取状況については、逆に摂取が一番少ない点数を10点として、10~1点で評価しました。つまり、この研究では低炭水化物、高タンパクの度合いを2~20点で評価しており、点数が高いほど低炭水化物ダイエットを厳しく行っていることになります。

 その結果、死亡のリスクは低炭水化物、高タンパク摂取が2点増加するごとに4%上昇することが示されました。特に心臓病による死亡は、2点増加するごとに15%の上昇が示されています。

 2013年1月にプロス・ワンという科学誌に掲載された論文でも、低炭水化物ダイエットに関する4研究の統合解析で、死亡リスクの上昇が示されています。あまりにも厳しい低炭水化物ダイエットを長期間続けることは、健康に良い影響を与えない可能性があり、注意が必要です。

青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。