しかし近年は、心臓のCT、MRI、エコーといった画像診断が驚くほど進化しています。3D―CTでは、心臓の状態、弁の動き、冠動脈などを立体的にはっきり映し出すことができます。エコーも、カラー化と3次元の描写により、詳細まで判別できるようになりました。
診断機器の進歩によって、どこからアプローチしてどの部分をどう処置すればいいかを術前にシミュレーションできるようになり、小切開による視野の狭さや手技の制限を受ける低侵襲手術を可能にしたのです。もちろん、従来の外科手術も、さらに速く確実にできるようになりました。
心臓手術における進歩は、目に見えない部分でもたくさんあります。たとえば、不整脈の治療のために胸に埋め込んで使用する「ペースメーカー」がそうです。
■MRI対応ペースメーカーが登場
これまでのものは、磁気によって強制的にモードが切り替わってしまうことから、MRI検査を受けられませんでした。MRIは、強力な磁場と電磁波を体に当てることで画像を描写するからです。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」