Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【竹田圭吾さんのケース】膵臓がんでも最期まで仕事を続けるために

竹田圭吾さん(C)日刊ゲンダイ

 膵臓は、胃の後ろにある20センチほどの臓器で、十二指腸や大腸、肝臓、胆のう、脾臓などに囲まれているため、腹部エコー検査では異常を見つけにくい。早期発見が難しく、診断時にがんが進行しているケースが少なくありません。外科手術で完治するケースはまれで、術後に補助的に化学療法を追加するのが標準。竹田さんも、術後に化学療法と一部の免疫療法を受けていたそうですから、進行がんだったのではないでしょうか。それでも亡くなる直前まで仕事をされていた事実は重い。ツイッターには、こんなつぶやきがあります。

■ガンは「闘う」ものではない

「がんというのは、必ずしも『襲われて』『闘う』ものではないと思う。自分の中に住みついたものを、なだめすかしながら、なんとか抑えながら生活の質を維持していく、がんとはそういうものだということを、検診の段階から少しでもイメージしておくことは大事ではないか」

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。