Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【竹田圭吾さんのケース】膵臓がんでも最期まで仕事を続けるために

竹田圭吾さん(C)日刊ゲンダイ

 その通りで、生活の質を軸に治療法を選択することも大事です。竹田さんにとっては、その大きな目的が仕事だったのでしょう。

 メディア出演にこだわった復帰後の仕事ぶりから、治療法の選択が推察されます。体への負担が重く休養を余儀なくされる化学療法はある程度にとどめ、復帰後は体に負担の少ない免疫療法に─―。

 そうやって仕事を続けながら、治療を受けていたのではないでしょうか。だからこそ休むことなく、最期まで仕事ができたと思えるのです。やみくもに化学療法を続けたら、ここまで仕事ができなかったかもしれません。

 毎年約3万7000人が膵臓がんを発症。これに匹敵する約3万2000人が亡くなっています。胃や肺、大腸の3大がんの死亡者数は、新規患者数の4~6割。膵臓がんが難治がんといわれるゆえんですが、そんながんに対する心構えを竹田さんの生きざまから学ぶことができるのです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。