先生がこの生徒に装置の使い方を説明して、「わかったか。じゃあ、どうやればいいか言ってみろ」と聞くと、おそらく完璧に言ってみせるでしょう。次に、「じゃあ、やってみろ」と言うと、まったくできなくて皆を驚かせることでしょう。
この生徒に対しては、言葉の説明は伝わらないと思います。指導の基本は「身をもって示す」、学習の基本は「見よう見まねで学ぶ」、それが一番だと思います。「今から俺がやる。次にやらせるから見てろ」と言って、まず先生がやってみせる。その後、「俺がやったのを見たか。じゃあ、次、君がやってみろ」という指導法です。
この生徒には、「次にやらせるから見てろ」と言うことがとても大切です。そう言わないと、先生が「身をもって示そう」としても、何も見ようとしないでしょう。手続き記憶のイメージをつくるための「こころの準備」ができていないからです。「次にやらせるから見てろ」と言われて初めて、先生のやり方を真似ようという気になり、自分なりにイメージをつくりつつ、先生の操作に注目することでしょう。
先生としては、「次にやらせるから見てろ」と言って、やって見せればそれで十分です。言葉で説明する必要はありません。
薬に頼らないこころの健康法Q&A