古くから魚醤が造られてきた石川県の能登半島。その中でも、イカの内臓を使ったものは「いしり」と呼ばれ、能登町の小木港や宇出津港では、自然発酵による昔ながらの製法で今も造られている。
秋田県のしょっつるなど、国内にも魚醤はいろいろあるが、イカを素材にしたものは、いしりだけだという。能登では昔からイカが豊漁だったためかもしれない。
都内在住で石川県出身の会社員、川端二郎さんはこう話す。
「イカの香ばしさがすごく感じられる魚醤です。食欲がないときでも、匂いを嗅ぐだけで食欲がそそられます。いろんな料理に合い、私の元気の源でもあります」
いしりのうま味の秘密は、遊離アミノ酸の含有量にある。遊離アミノ酸はいろいろ種類があるが、それぞれ固有の味を持っており、総合的にうま味を形成している。
実は、いしりの総遊離アミノ酸量は、海外や国内のほかの魚醤と比較し、その含有量が多いことが石川県工業試験場などの研究によりわかっている。
健康面でも、いしりはすぐれている。抗酸化作用が高く、生活習慣病の原因となる活性酸素の害を抑えてくれるのだ。
また、血圧やコレステロールを低減するタウリンも豊富に含まれている。
料理への適応範囲は広く、刺し身につけるのはもちろん、鍋料理や炒め物もイケる。通販などで購入できるので、万能調味料として常備したい。
うまさと健康の両面で貢献してくれそうだ。
真似したい伝承療法
石川県のいしり
うま味の秘密は「遊離アミノ酸」の含有量