しなやかな血管が命を守る

【肺血栓塞栓症】血の塊が肺血流を止めて突然死をもたらす

(C)日刊ゲンダイ

 一定以上の大きさの血栓が肺動脈を閉塞すると、突然の呼吸困難や胸痛が生じます。肺動脈の血流が減るので低血圧から失神やショックになることもあります。また、血痰、倦怠や不安感、動悸、冷や汗などの症状が出ることも。

 出血すると傷口を塞ぐためにフィブリンができて止血されますが、しばらくすると血流を止めないためにプラスミンという酵素がフィブリンを溶解します。その分解過程でできるのがDダイマーです。これは血栓で増加するので、Dダイマー上昇は血栓の診断に役立ちます。

■超音波検査で早めに診断、CTで確定

 胸部X線、心電図や血液検査では診断が難しく、最新の欧州の研究では、「超音波での肺梗塞所見」「心エコー検査による右心負荷」「深部静脈血栓症」の3所見があれば8割の確率で肺血栓塞栓症であり、そうでなければ完全に否定できると報告されています。

2 / 4 ページ

東丸貴信

東丸貴信

東京大学医学部卒。東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理・循環器センター教授、日赤医療センター循環器科部長などを歴任。血管内治療学会理事、心臓血管内視鏡学会理事、成人病学会理事、脈管学会評議員、世界心臓病会議部会長。日本循環器学会認定専門医、日本内科学会認定・指導医、日本脈管学会専門医、心臓血管内視鏡学会専門医。