眼精疲労は、東洋医学では単なる「目を酷使することによる目の疲れ」ではありません。眼精疲労がひどい人は、「肝」が疲れていると考えます。なぜなら、目と肝臓は相互関係にあるからです。目には毛細血管がたくさんあります。
そして、肝臓は「血の蔵」と呼ばれています。肝臓が疲れて弱り、血がうまく体中を巡らず、そのために目の毛細血管の働きにも異常が出て、目が疲れるとみるのです。
だから、「眼精疲労がひどくて……」とおっしゃる方に、漢方薬局では目薬だけをすすめることはありません。肝臓を元気にするための漢方薬を選びます。
私がよくおすすめするのは、ベースが六味地黄丸に枸杞の実と菊の花の生薬を加えた「杞菊地黄丸」です。これは、飲む目薬という別名を持つ漢方薬です。
40代前半のTさんは、デスクワーク中心で眼精疲労が深刻な問題です。目薬をさしたり、温めたおしぼりを目の上にのせたり、さまざまな工夫を凝らしていますが、いずれも“焼け石に水”状態。
そこで私がアドバイスし、1カ月前から杞菊地黄丸を飲み始めました。ずいぶん楽になったそうで、「そのためか、仕事中のイライラも減った」と言います。イライラが減ったのは、目とともに肝臓の衰えも解消されたから。イライラは、肝臓がうまく働いていないサインでもあります。
みなさんも、眼精疲労に悩んでいるようなら、漢方薬を使った解決策を検討してはいかがでしょうか?
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