天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

心臓手術は「3割負担」で100万~150万円

順天堂大医学部の天野篤教授(C)日刊ゲンダイ

 ただし、事前に「限度額適用認定証」を提出していなければ、退院時にいったんすべての医療費を病院の窓口で支払い、後から差額を払い戻してもらう形になってしまいます。そうなると、手元にお金がない場合はひとまず借金をして医療費を支払わなければなりません。

 こうした事態を避けるため、70歳未満の人が心臓の手術や治療で高額な医療費がかかりそうなときは、自分が加入している健康保険組合などの窓口に出向き、限度額適用認定証を発行してもらってください。そうしておけば、窓口での支払いは自己負担限度額の範囲内で済みます。70歳以上の人は、限度額適用認定証がなくても自動的に自己負担限度額の範囲内になるのが一般的です(住民税非課税世帯は限度額適用認定証が必要)。

 他にも、さらに自己負担額が軽減される条件や、申請が必要になるケースもあるので、自分が加入している公的保険の窓口へ問い合わせて確認しておくといいでしょう。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。