家計簿を見れば病気がわかる

電車か車通勤か 定期&ガソリン代から分かる糖尿病リスク

(C)日刊ゲンダイ

 一方、ガソリン消費は所得に関係なく、ほぼ一定の傾向が読み取れます。つまり、所得によらず、同じ量だけガソリンを消費しているわけです。しかし一般に高所得層は燃費の悪い大きなクルマを購入しますから、低所得層よりも、クルマでの移動距離が少ないと言えそうです。クルマをよく使う人は、それだけ歩かないため、糖尿病リスクが高まります。

 以上まとめると、高所得者ほど電車通勤が多く、クルマ移動が相対的に少ないことから、低所得者と比べて糖尿病のリスクが低いと説明できそうです。

 一方、独身者の通勤定期代には、2人以上世帯のような明確な傾向は見られません(表2参照)。ただし年収600万円超の人の定期代は、群を抜いて多くなっています。ガソリン代は、年収によらずほぼ一定の金額を使っているように見えます。したがって、独身者では高所得の一部の人を除いて、糖尿病リスクは所得に関係しないと思われます。ただし、まだ確認されていない、あくまでも仮説の話です。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。