室内寒暖差で突然死も 中高年の“一番風呂”は冬こそ避ける

大寒波だから危ない
大寒波だから危ない(C)日刊ゲンダイ

 先週、大寒波に襲われた日本列島。中でも、九州は記録的な大雪となった。奄美市で115年ぶりに雪が観測されたほか、沖縄本島では、初めて雪(みぞれ)が観測された。こんな寒い日は温かいお風呂でくつろぎたいが、寒暖差が激しい時季は風呂場での突然死(ヒートショック)が急増する。

 厚労省の研究班の調査では、入浴中の事故死の数は年間約1万9000人。全体の約半数が12月から2月にかけて発生している。別表(1)を見ても一目瞭然で、気候の不安定なこの時季は危ないのだ。

 東京都健康長寿医療センターの調査によると、2011年に全国で入浴中に心肺停止状態に陥った高齢者の発生頻度は、別表(2)の通り。比較的暖かい西日本が高く、北海道や青森は低い。外気温の低さよりも、住宅内の温熱環境によって問題が生じるのだ。暖房のない浴室は室温が10度以下になることもあるから、注意が必要である。

 山野医療専門学校副校長で医学博士の中原英臣氏は言う。

「室内の寒暖差が突然死の原因になります。部屋は暖かいのに冷たい風呂場に移動し、裸になる。血圧が急上昇し、脳出血などを起こすのです。北海道や、青森県のような東北地方は外気が冷たい分、部屋全体を暖めているため、住宅内の温度が均一で、むしろ事故が起こりにくいのです」

 死者数は別表(3)で分かるように50代と60代で4倍近く違う。60代以上の高齢者になると、血圧変化をきたしやすい。温かい湯船につかることで血管が広がり血液が回りにくくなってめまいを起こし、溺れることがあるという。

「中高年は一番風呂を避けることをお勧めします。1、2人入った後なら湯気で風呂場が暖まっている分、浴室の温度が上がります。掛け湯をする際は、蛇口をひねるのではなく、シャワーを利用してください。浴室全体が暖まります。お風呂は40~41度が適温でしょう」

 独り暮らしの高齢者は一番風呂になってしまうが――。

「浴室が冷え込まない昼間の暖かい時間にお風呂に入ることで、リスクを減らせます」

 寒さの厳しい時季。自分の身は自分で守りたい。

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