Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【西川きよしさんのケース】前立腺がん“治療しない”選択肢もある

西川きよし&ヘレン夫妻(C)日刊ゲンダイ

 そこで重要なのが、PSA検査。前立腺がんになると、PSAという血液検査の数値が上昇します。これが4ng/mlを超えると、がんが疑われ、4~10だと、がんの確率は25~40%。西川さんもこの検査でがんが見つかったと思われます。

 これが早期発見の一番の“武器”ですが、そこにネックがある。先ほど治療せずに済むケースがあると説明したように、そういうがんを見つけ治療する可能性です。早期発見するがゆえに過剰診療の恐れがあるのです。

 治療の必要性を調べるには、前立腺がんの組織を採取して悪性度を調べる生検を受けるのが一番。その上で泌尿器科医のほか、放射線治療医のセカンドオピニオンを聞き、治療方針について相談するとよいでしょう。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。