山梨県の西部に位置する南アルプス市。古くは養蚕業が盛んだったが、時代の趨勢によりかつての勢いはない。
だが、一部で伝統産業を見直す動きが高まり、養蚕とは違った新しい形で復活しつつある。それが“桑の葉パウダー”だ。
養蚕業では、蚕の餌である桑の葉は欠かせない。南アルプス市では今でも桑畑が多く、桑の葉も豊富にある。その桑の葉を、今度は人の健康に役立てようと見直したのだ。
そして東京農業大学農学部教授の長島孝行氏らの研究により、桑の葉は優れた天然機能食品であることがわかってきた。
それは、マウスの実験で判明した。脂肪分と糖分の高い餌を与えたマウスは当然、中性脂肪値や総コレステロール値、血糖値が高くなる。しかし、この高カロリーな餌に1%の桑の葉を加えるだけで、前述の数値が有意に低下したというのだ。また、マウスの肝臓の重量も低下したことから、肝臓の脂肪量の改善も見られたことが推測できる。あくまでもマウスの実験段階に過ぎないが、健康を気遣う人にとっては興味深い食品だろう。
桑の葉のパウダーを料理や飲料などに利用している会社員の昭島智明さんはこう話す。
「ミルクに混ぜて飲むと、抹茶のようにまろやかになった気がします」
桑の葉パウダーは通販で購入でき、桑の葉パウダー入りのアメも好評だ。桑の葉は蚕だけでなく、我々にも重要な食品だ。
真似したい伝承療法
山梨県の桑の葉パウダー
マウスでは中性脂肪やコレステロールに効果