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【アレルゲン】ゴキブリが小児ぜんそくの原因になる

(C)日刊ゲンダイ

 気管支ぜんそくを引き起こす室内の原因物質(アレルゲン)は、ハウスダストやダニだけじゃない。台所などに潜むゴキブリもアレルゲンになる可能性があるので、対策が必要だ。室内の害虫の生態や駆除を研究している「日本環境衛生センター環境生物・住環境部」の武藤敦彦部長が言う。

「ゴキブリは欧米ではぜんそくの陽性率が高いことが知られ、対策が行われています。日本では問題にされることが少ないが、国内の小児ぜんそく患者を対象とした研究でも約20%の陽性率があることが報告されています」

 ゴキブリの虫体や糞に接触・吸入することで、アレルギーを引き起こす。日本の室内にすみつくゴキブリは、大型で黒光りした「クロゴキブリ」と、小型で茶色い「チャバネゴキブリ」の2種類がほとんどだ。

「一般家庭でよく見られるのはクロゴキブリで、チャバネゴキブリは主にビル内や飲食店の厨房にいます。チャバネゴキブリは繁殖力がすごいのですが、寒さに弱いので一般家庭では越冬できないからです」

■年間数万個の卵を産むことも

 一般的に冬はゴキブリの活動量や繁殖量が落ちるが、年間通して室温が安定している高断熱住宅になると話は別。クロゴキブリは1年くらいの寿命があり、その間にメスは400個前後の卵を産む。成長が早いチャバネゴキブリは年間の合計で数万個の卵を産むという。

 残飯や排水管のヌメリなど何でもエサにするゴキブリは、台所などの水回りの暗くて狭い場所に潜んでいる。乾燥に弱く、水をよく飲む性質があるからだ。ただ、マンションなどの高層階はゴキブリが出ないといわれるが本当なのか。

「クロゴキブリは2階くらいまでは飛ぶ(チャバネは飛べない)ので、低層階の方が外から侵入しやすいといえます。それに低層階の方が湿気が多いので好みます。ただし、高層階でも荷物にまぎれて雄と雌のペアが室内に入り込み、条件が合えば普通に繁殖します」

 対策は、直接見かけたら殺虫剤スプレー、逃げられたら、ゴキブリホイホイなどの駆除装置を仕掛けるといったところしかない。しかし、繁殖していれば捕獲できるのはごく一部。まだ“ホウ酸団子”のような毒エサの方が効果的という。

「一般家庭で駆除するなら、ヒドラメチルノンやフィプロニルを有効成分とする市販の毒エサを使うのがいいでしょう。上手に使えば100%駆除できるはずです」

 室内に発生して気管支ぜんそくのアレルゲンになる害虫は、他にも「チャタテムシ」がいる。成虫の体長は1ミリほどで、主にカビをエサにしているという。

 冬でも窓際など結露している場所があると繁殖の原因になるので注意しておこう。