独白 愉快な“病人”たち

脚本家・内館牧子さん(67) 心臓弁膜症

内館牧子さん(C)日刊ゲンダイ
意識不明のままで搬送。ワイドショーで自分の入院を知りました

「大病して変わったことはありませんか?」と必ず聞かれるんだけれど、まったく変わってないですよ。“生きているんじゃなくて生かされている”と感じるようになったとか? それはそうかもしれないけれど、わざわざ言葉にするのは気持ち悪い(笑い)。ただ、運の強さは実感しました。だって、医師と看護師長の目の前で倒れて、意識不明のうちに心臓外科のカリスマ医師の元に担ぎ込まれたんですから。友人たちは今でも「悪運強いなァ」って(笑い)。

 倒れたのは、2008年12月。岩手県盛岡市で年末恒例の文士劇の役者として高橋克彦さんら作家と舞台に立っていました。2日間公演で、初日の打ち上げで乾杯するなり急に具合が悪くなったんです。別室で応急処置をしてくれたのが高橋克彦さんの弟さん。循環器内科の医師で、お兄さんのお芝居を見に来られていて、看護師長もご一緒に打ち上げに参加していたんです。

 すぐに岩手医大付属病院に運ばれ、心臓外科のカリスマといわれる岡林均教授の緊急手術を受けたのです。

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