独白 愉快な“病人”たち

脚本家・内館牧子さん(67) 心臓弁膜症

内館牧子さん(C)日刊ゲンダイ

 術後、長い意識不明から覚めて、自分は心臓手術を受けて岩手医大に入院しているんだと知ったのは、病室に流れていたテレビのワイドショーでした。「朝青龍とバトル中の内館さんが岩手で倒れ……」って司会者が説明していました(笑い)。

 2週間も意識不明だと、体の筋肉という筋肉が全部落ちるんですね。全身がピクリとも動かない。あの状態から3カ月で回復したのは奇跡だと、医師の友人たちが驚いていました。

 実は、手術は1回で済まないと、前もって言われていました。それで東京で3カ月、体力を回復させた後、再び岩手医大に1カ月入院したんです。東京の病院とは縁がなかったし、医師の力もある上、あそこは居心地がよかったんです。

 2度目の入院前は、自宅ですべての連載の1カ月分をまとめて書きました。それを前もって出して、決して入院とは言わなかった。「湯治で東北に行く」と言っておいたの。再入院で再手術なんて言うと絶対に悪い噂が流れるから(笑い)。

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