独白 愉快な“病人”たち

脚本家・内館牧子さん(67) 心臓弁膜症

内館牧子さん(C)日刊ゲンダイ

 その手術もうまくいって、後遺症もなく、仕事にもすぐに復帰しました。1度目の入院中に見た夢がヒントになった作品もあります。変な夢をたくさん見たんです。“これは書き留めなくては”と紙1枚持てない筋力でも震える字で書き残した。そう、転んでもタダでは起きないのよ(笑い)。

 あれから8年。今は1カ月に1度の血液検査、半年に1度のエコー検査、1~2年に1度のMRI検査をしていて、ワーファリンという血液をサラサラにする薬を毎日飲んでいます。よく「一生薬を飲まなきゃならない」と落ち込んでいる人がいますが、その考え方は変じゃないかしら。「一生薬を飲んでいれば普通に暮らせる」ってことですよ。こんな簡単なことはないと思いますね。

 病気で得たことがひとつあります。「信じられる医師に出会ったら、その医師の言うことを守ると治る可能性が高くなる」ということです。私の女友達がくれた見舞状には“女の人生を決めるのは結婚運より医者運ね”とあって、これは今も名言として友人の間に伝わっています(笑い)。

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