健康は住まいがつくる

風速25メートルの「エアシャワー」で花粉をシャットアウト

PM2.5やウイルスの付着も除去することができる
PM2.5やウイルスの付着も除去することができる(提供写真)

 スギ花粉症がつらい季節になってきた。花粉症対策で重要なのは、とにかく室内に花粉を持ち込まないこと。しかし、屋外で髪や衣類に付着した花粉を玄関前で払い落とすのは至難の業だ。

 そこで近年、マンションなどの集合住宅で見られるようになったのが「エアシャワー」設備。エントランスに専用ルームを設置して、帰宅時にそこで体に付いた花粉を強風で吹き飛ばすシステムになっている。

 住宅メーカーの大和ハウス工業では、3年ほど前からエアシャワールームをオプションとして、販売する賃貸住宅に取り付けている。同社で賃貸住宅を担当する堀福次郎常務が言う。

「花粉は衣類の繊維の間に入り込むので、手で払ったくらいでは除去できずに残るといわれます。それがエアシャワーを浴びることで、花粉だけでなくPM2.5やウイルスの一部の付着も除去できます」

 同社の設置するエアシャワーは、センサーに手をかざすと10カ所の噴射口から風速25メートル/秒のエアジェットが噴出する。吹き飛ばされた花粉などは装置下部から吸い込まれ、0.3マイクロメートル以上の微粒子を99.97%除去できる超高性能HEPAフィルターを通すことでキャッチされる。

「見落とされやすいのは、散歩でペットに付着する花粉です。ペット可の住居もあるので、エアシャワールームにはエアが噴射するノズル付きホースも備え付けています」

 さらに同社が3年前から提供するエアシャワールームには、防犯機能が追加されている。不審者などから身を守らなければいけない緊急時には、非常ボタンを押すと警備会社へ連絡が入るセーフティールームとしても機能する。専用ルームの広さは1坪(2畳)で、設置費用は約200万円。年間20棟前後の設置依頼があるという。

 では、一戸建て住宅で屋外からの花粉の侵入を防ぐ対策はないのか。堀常務は、換気システムを見直すことはひとつの対策になるという。

「いまの住宅は24時間機械換気の設置が定められていますが、通常、給気口に微粒子の侵入に対応したフィルターは付いていないので、そこから花粉が入ってくる可能性はあります。しかし、当社は業界で初めてHEPAフィルターを搭載した空気清浄ユニットを提供しているので、新築一戸建てなどで対応しています」

 超高性能HEPAフィルターは病院の集中治療室やクリーンルームでも使われている。99%以上除去できる0.3マイクロメートルの微粒子といえば、たばこの煙に相当する。空気清浄機と連動させれば、外から入り込む花粉は高い確率で阻止できるはずだ。

 せめて自宅では花粉症によるトラブルから解放されたい人は、工務店や住宅メーカーに相談してみたらどうか。