「がんの早期診断には犬の嗅覚が検査より優れている」「寄生虫の嗅覚で超早期がんが診断できた」というような研究が、真面目に専門誌に発表されています。これだけ多くの科学的検査が開発され、使用されているのですが、人間の病気の診断というのは不思議なものです。
認知症の診断にも、面白い方法がありました。2013年に発表された、「ピーナツバターの匂いでアルツハイマー病を診断する」というユニークな方法です。
どういうものかというと、「鼻の下30センチの位置にピーナツバターの瓶を置き、それを少しずつ鼻に近づけて、どこまで近づいたら匂いが分かるかを左右の鼻で比較する」という方法です。左右に差があって、左の方が低下していると、アルツハイマー病になる可能性が高いというのです。匂いを嗅ぐ神経は脳につながっていて、左の部分から神経の低下が始まるというデータがあるので、あながち誤りともいえません。
しかし、これが発表されたのと同じ専門誌に翌年掲載された論文によると、別の研究者が同じ実験をしたところ「全く診断には役に立たなかった」という結果になっていました。その後にまとまった報告はないようで、どうもこの話は、うのみにするのは間違いのようです。
アルツハイマー病になるかどうかを簡単に診断できればそれに越したことはありませんが、「今のところ確実な方法はない」と考えた方が良さそうです。
医者も知らない医学の新常識